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石神の村

       八ヶ岳のある風景
         -石神の村ー
「稲作を中心とする農耕民族にとって最大の願望は
豊作にあった」
    (石神信仰・大護八郎・木耳社)

雪があるかも知れないと思い、久しく行っていない八ヶ岳
のある村を突然、訪ねたくなりました。
雪をかぶる八ヶ岳を見てみたかったのです。

その村(茅野市内)には、多くの石神があります。特に民家
の軒先に。どうして家の前に?前から通り度に、不思議に
思っていました。そのうち、上記の著作を読んでなんとなく
合点がいったように思いました。

そして、雪の風景を見ればいっそう納得が行くかも知れない
そんな、気がしてきたのです。たいして理由もなくです。


この写真右側を小川が流れています。八ヶ岳の雪解け
水です。これは田んぼへと注ぎます。この石仏は豊作
を祈る作神かも知れません。


この石仏の頭を御覧下さい。何かの動物の顔に見え
ませんか?
そうです馬の顔です。つまりこの像は馬頭観世音です。
(注・江戸時代後期から、馬力運送の有力な農閑稼ぎ
となると彼ら馬持ち連中の名において馬の無病息災と
交通安全祈願のため夥しい造立をみてくる。同上「石
神信仰」・大護八郎著)

この村には、田も多いところから、私的には農耕馬の
供養もやっていたのでは、と推測するのですが、
調べたわけではありませんので、そのところは、あくま
で想像です。



これらの石仏で興味深いのは、民家の軒先にあると
いうことです。供養のためだけであったら別に軒先で
なくても、ひっそりと家の裏にあっても良いはずです。

恐らく供養だけでなく例えば悪霊が入るの塞ぐとい
った理由もあるのではと考えるのですが。
これも勝手な私の推測です。



この民家の像は、色々な石神が並んでいます。
恐らく、田の豊作のほかに夫婦和合の像も見られる
ことから村の安寧をいのる石神かもしれません。



この村には御覧のように土塀などの古い民家が残って
います。わずかの撮影時間でしたが、なんとなく田舎
の原風景を見る思いがしました。周囲には、新しい
民家も見られましたが、いつまでも残って欲しい風景
だなーと思いながら後にしました。


多分、この八ヶ岳と田の関係は水という掛け替えの
ない貴重な媒介を通して営々ときずかれてきたこと
でしょう。五穀豊穣を願う村民の心も、、、。


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stickman

お邪魔致します。

私は所謂「日本的なモノ」というのに歓心や実感が湧かないタチなのですが(伝統性とやらをスルーする性分でしてw)、こんな風景の見れるような所に出向くと、実際遭った訳でもないのに何かしら懐かしさを感じてしまうと言うのは、そこに息づく生命の長い枠組みにインスパイアするからなのでしょうか。

京都などの豪華な神社に行ってもカメラを構える気は起きないけれど、なんでもない森の中に入るとレンズを向けたくてしょうがなくなる…何かに、と云うような......ウ~ン(汗)
by stickman (2006-03-15 12:41) 

yoku

山、自然、などから発生するもろもろ、米、水もそうですね。あと石
など民俗にまつわるもの。この場合は八ヶ岳という山があって
その山は単に山ではなく農民に敬われる山、何故なら田に必要な
水を供給してくれるから。そしてその山には神が宿ると信じられている
から村民はその神に感謝する、素朴な石神を彫って(多分無名の石工)
その神に拝む。非常に単純な撮影動機です。本当はこの理屈は
後でくっ付けたよなものですが(笑い)。
まあ、一言で言えば、素朴な石の像に惚れるということでしょうか。
私は、一貫して石が好きなのです。物言わぬ石が、、、(笑い)。
stickmanさんの言わんとされることは分かります。ありがとうございます。
by yoku (2006-03-15 13:34) 

stickman

こちらこそ有難うございます。
馬頭観世音像初め、ハッキリとは見えないけれど確かに何か宿っていそうなこの素敵な石像達を目にすれば、何かファインダーに捉えたくなると思いますw

上の民家の軒先にある石仏は、大きな木の側で段の境でもあるという所を見ると恐らく一種の結界の作用もあるのかも、と私も思いました。
by stickman (2006-03-15 21:01) 

春分

後の方のは、双体道祖神というやつでしょうか。石神?道祖神と同じですか?
by 春分 (2006-03-16 21:44) 

yoku

さあ、難しいぞ!
まず、石神ですが、私は八ヶ岳という山にまつわる
話ですから、単純に山の神から派生して石神と
しました。
男女の像は双体道祖神でいいと思います。
私は,大護さんの石神信仰を参考にさせて
もらいました。この本は984ページもある
大部ですが、石の神については詳しく
出ています。
因みに
石の神は、「奈良朝の昔諸国の風土記に
数多く記されている「石神」は、石に素材を
求めて仏像を刻むことの盛行に伴って「石
仏」という名におきかえられたが、日本民族
の石に関する信仰はそれによって絶えたわけ
では鳴く、石仏の中に神をみることはひきつづ
いてあった」とあります。
道祖神については「8世紀の編さんになる記紀
に概にその名(ふなどのかみ)は、本来、邪悪
なものの村への侵入を塞ぐ、いわゆる「塞ぎ」
の神であった、、、」とあります。
また、双体道祖神については「縁結び、あるいは
男女相愛の神、、」とあります。
以上、長くなりました。
by yoku (2006-03-17 06:31) 

春分

石神。深いですね。
気楽に聞いてしまって、ちょっと後悔しました。
何にしろ石に惹かれる人は昔から多いようだとわかりました。
by 春分 (2006-03-17 23:37) 

yoku

実は、私も石の神についてはにわか勉強
なのです。ただ、石についての話なので
これからも知りたいと思っております。
by yoku (2006-03-18 04:59) 

春分

あ、nice!を押すのを忘れてました。すみません、3回もお邪魔してしまって。
by 春分 (2006-03-18 18:48) 

yoku

misato2009様
今頃(随分遅く)なってしまいましたが、niceありがとうございました。
by yoku (2011-01-25 06:43) 

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