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城壁の中の町「エーギュ・モルト」(仏)


エーギュ・モルトAigues Mortesとは、
ラテン語Aquae Mortuae <死んだ水>から
訛ったものだそうである。
「フランス王ルイは十字軍の熱烈な支持者で
、その十字軍士たちの船出のための基地
として建設されたのが、この町の始まりで
あった」(中世の町・鈴木成高著・東海大学
出版会)
私はニームから、バスでこの町を訪ねた(約
40K)。今は塀の中は民家が密集しており、
さしずめ塀の中の町と言った趣である。
周りには潟が広がる。当時はここから船
が出ていたわけで、その面影が残って
いる。

私は、この連休を利用して借りている畑仕事に精を出しましたが
皆様はどんな過ごし方をされたでしょうか?

さて、上記エーギュ・モルトの関連で橋口倫介著の「十字軍」(岩波新
書)を手にとってみました。
ヨーロッパ中世にとって十字軍は無視できない出来事である。その残
酷な行為はこの本にもいたるところに出てきます。

例えば「しかるに十字軍は、都を武力で奪取したうえ聖所を独占しよう
としたばかりか、異教徒の家財を奪い、あるいは市外に
追放し、あるいは集団殺戮をほしいままにし、、、、」とあります。
その事実は非常に重要で重いのですが、この本を読んで驚いた
事実のひとつは参加者のことである。

「貴婦人を含む女性や未成年者など非戦闘員もおびただしい数ののぼっ
たこの十字軍は、、」と書いてある。女性や未成年者までもこの十字軍
に参加していた事実は不勉強にして、知りませんでした。

そのうえ「しかし、そのいたましい敗北の結果、総数20万人と推計された
出発時の人々はその1パーセントも聖地にたどりつくことが出来ず、、」と
あります。勿論、イスラム側の被害は、甚大であったが参加者側の悲惨な
事実も明らかにしている。

まさに,上の写真のエーギュ・モルトは中世史家鈴木成高氏の話をあ
げるまでもなく中世の海外派兵の軍事基地みたいなわけで、今は南仏の
陽光を浴びる平和な町そのものですが、中世には、こういった役割も
担っていたわけである。


城壁。延々と続く石の壁はまるで刑務所
の塀を連想させる。
この高い塀をのりこえて攻め込むのは
大変なことであったろう。
しかし十字軍の基地の他に何か役割があった
のか私には分からない。




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コメント 6

春分

> ラテン語Aquae Mortuae <死んだ水>から
何やらかっこいいですね。語学も面白のでしょうけど、辛抱が続きません。
by 春分 (2006-05-06 16:50) 

plot

「アラブがみた十字軍」(アミン・マアルーフAmin Maalouf 著)を読むまで、十字軍にロマンティックなイメージしか持っていませんでした。現実には同じキリスト教圏のビザンティンを攻めたり、子供十字軍を奴隷として売り飛ばしたり。でもイロニー(皮肉)こそロマン主義の本質だそうですから、エーギュ・モルトはまさに歴史のロマンを感じさせてくれる場所かも知れませんね
by plot (2006-05-06 22:20) 

yoku

plot様
確かに、歴史(世界史)はヨーロッパの視点から
が多い気がします。。十字軍については、やはり
アラブ側の視点が重要である思います。
中世の頃はエーギュ・モルトは船が着けるところ
だったわけですが、今は湿地帯になっています。
歴史の長さを感じさせます。
by yoku (2006-05-07 06:18) 

世界史で勉強したときは、十字軍って名前とかからしてかっこいいなあ、なんて思ったけど、商人と結託した大略奪集団の一面と狂信的殺戮集団の一面をもつ、ヨーロッパの暗い歴史の一部と理解しています。人類の歴史に必要な?誤りの一つと思われますね。
by (2006-05-08 02:56) 

yoku

訪ねるには、辺鄙なところですが
フランスの南部を訪ねたら
立ち寄り、歴史を肌で感じる
機会を与えるところかも知れません。
by yoku (2006-05-08 05:13) 

yoku

春分様
非常に遅くなり、失礼しました。
上記の鈴木成高さんは「詩人モーリス・パレスが
「「言いようのない絶望と同義」」と唄ったこの地名は
、誰がつけたものだか知らないが、澱んだ沼と
出口のない潟湖と不毛の潟地のまんなかに
捨て去られたこの孤高の町、、、」と書かれて
います。しかし、この書はかなり昔に書かれて
おり、今では訪ねるひとも多くかなりにぎわって
います。以上、ながくなりましたが補足しておき
ます。
by yoku (2006-05-08 05:29) 

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