ロマネスクのある風景 Malval (仏・クルーズ)
「石の重さと単純さの上、神秘を喚起し、放出する簡素を極めた形の
力の上に建てられたロマネスクの教会堂は、要するに精神そのもの
ーあるいはそういって良ければ、われわれの本性にふさわしいような
、体をもった魂である」
(マルセル・アルラン)
さて、私はこの夏、滞在していた旧修道院から近い鄙びた村の中世の
ロマネスクを訪ねました。
ちょっと変わった、興味深い地名の村にあります。(mal 悪い val 谷、渓谷
仏和辞典による)中世以来の村ですが、この谷に何か悪いことでもあったのだろうか。
(村には、川があり、訪ねたことがあります)
私はこの村は 二,三度めの訪問です。
上記のアルランはロマネスクについて「ロマネスクの教会堂は天空と大地との結びつきが
穹窿の下で反復され凝縮される場所である(注)とも述べています。
(11世紀)
窓が少ない、支壁に支えられているといったロマネスクの特徴が見られます。
この教会堂の前には墓地があります。ですから、典型的な墓地教会
といえます。
中世そのものの村である。勿論、店いっけんもありません。
この教会堂はずんぐり、むっくり型の典型的なロマネスクです。
この大地にしっかり根を張ったようなロマネスクに興味を覚えるのです。
中世にあって、教会は安寧を求める村民の精神のより所であったのだろう。
私は町中の大きな教会より、こういった小さな村の素朴な教会に惹かれます。
(注:石と信仰とのたわむれ 白水社より)
店が一軒もないというのは、どこにでも味も素っ気もないコンビニがある日本の風景と比べて、非常に大切な物をしっかりと守っていると思います。便利さを追求することで、人間はどんどん自立する力が小さくなっています。
by アヨアン・イゴカー (2014-10-01 22:39)
近くに何でもある日本。究極の便利さ(日本)、究極の不便(仏)。
自分はただ通りすがりの一外国人ですぎない(仏)では、いろいろと
考えさせてくれます。
by yoku (2014-10-03 05:33)